あたしの言葉に反応したロゼは、机を拭く為に動かしていた腕をゆっくりと止めた。


「…何故そう思うのですか」


相変わらずの仏頂面を浮かべるロゼに、あたしは苦笑した。


「…何でだろう。ただ、信じられなくて。人違いなんじゃないかなって思っちゃうの」


「…メイ様は、人違いであって欲しいのですか?」


その言葉に、どきりとした。


"薔薇姫の子"じゃなかったら、レオはあたしに興味を示さないかもしれない。


そんなの、やだ。



でも、"薔薇姫の子"だとしても、レオはあたしじゃなくて、その肩書きに興味を示すだけ。


「…わかんない」


そのままの気持ちが、口をついて出た。



わかんない。


わかんないよ。



あたしは、どうありたいのか。


どうあってほしいのか―――…