それがいけなかったのか、メイの眉間の皺が、一層深まった。
「また、そうやってレオは人のことからかう!」
「からかってねぇって」
「嘘!その笑い方がダメッ」
…これがいつものメイ。
意地っ張りで、なにかと俺につっかかってきて。
けど、どこか優しさを宿してる。
俺が貴族だからって、媚びてきたりはしないし、奢らせるという考えは、きっとメイの中にはない。
メイは、ちゃんと"本当の俺"の相手をしてくれている。
それが、堪らなく嬉しいんだ。
「悪かったって。ここ、俺の特等席なんだよ」
俺がその場に座り込むと、メイも少し躊躇ったあと、俺の隣に座った。
「…それ、前言ってたよね。どこらへんが特等席なの?」