…悪魔だ。


悪魔が見えます。



目を泳がせるカイルさんを見て、たっぷりと悪魔的微笑みを浮かべたあと、レオは止めを刺しに出た。



「今後一切、メイに近寄らないと誓え。さもないと、お前が死ぬまでありもしない借金取り立ててやるよ」



さすがのカイルさんも、この言葉に逆らえる気力はなかったらしい。


何度も無言で頷いたあと、真っ青な顔で走って逃げていった。


「…ったく、懲りねぇヤツだな」


その後ろ姿を見て、レオはため息と共に呟いた。


あたしは、地面に転がった果物をひょいと持ち上げると、レオの目の前に突き出した。


「…メイ?」


驚いたレオ表情から、視線を斜め下に逸らすと、



「…あ、りがと、ね」



あたしはぎこちないお礼を言った。