「ちょっとっ…」
いい加減にしてよ、と怒鳴ろうとした瞬間、カイルさんの頭に何かが直撃した。
「―――――…ッ!」
頭を抱え、痛みに呻くカイルさんの足元に転がった、林檎のような果物。
それが飛んできた方向には…
「失礼。手が滑りまして」
無意味な笑顔を振り撒く、貴族モードのレオ。
カイルさんは涙目で、キッとレオを睨みつけた。
「何するんだ!」
「ですから、手が滑って。ところで、メイさまに何のご用でしょう?」
笑顔でそう言ったあと、レオはちらりとあたしを見た。
…また、助けてもらった。
けど、やっぱりすぐにはお礼が言えないあたし。
あたしが口を開く前に、カイルさんが怒り口調でレオに話し始めた。