たった一言、
"ありがとう"
が素直に言えないあたし。
あたしは、カイルさんが思ってるような子じゃない。
「レオなんかやめてさ、僕にしなよ」
「は?」
あまりに突然な言葉に、あたしは何とも間抜けな返事を返した。
何か…前にもこんな感じのことがあったような。
カイルさん、話が突然すぎるよね?
「…あたし、あなたに利用される気はないんですけど」
今まであたしの近くに立っていたカイルさんが、何の断りも得ずにあたしの隣に座った。
「利用なんかしないよ。…僕は、本気で君が気になり始めたんだ」
あたしの手を握り、近づいてくるカイルさんから、あたしは必死に逃げようと体を反らせる。
も―――!!
どうしてそんなに積極的なのよッ!!