「俺?メイが欲しいけど」
どきんと心臓が跳ねるのと、ずきんと心が痛むのが、ほぼ同時だった。
…わかってるよ。
レオが欲しいのは、"薔薇姫の子"。
「…はいはい」
さっきのレオみたいに、適当にそう答えたあたしに、レオは苦笑した。
「うわ、超傷つくんだけど」
「お互い様でしょ」
冷たくそう答えた後、可愛げのない自分に腹が立った。
レオがあたしを見てくれないなら、あたしを見てくれるように努力すればいい。
頭ではわかっていても、実行するのがなかなか難しい。
はぁ、とため息をつくと、あるお店が目に入った。
「メイ?」
思わず立ち止まると、レオがあたしの名前を呼んだ。
その声に振り返った後、あたしはある方向を指差した。