「あ、何?俺っすか?」

「そうだよ、お前だよ。」

声のした方を見ると、みなれない先輩。

栗色の髪は少し立っていて、耳にはピアス。

いかにも不良って感じの先輩だ。

でもちょっとカッコイイ。

「初瀬、お前何してるんだ?」

「何って、帰るところですけど。」

「帰るって、部活は?」

先生の声が怒っているのが分かる。

「今日、体育あったし。」

「言い訳無用!!今すぐ着替えて部活に来なさい!!!」

「あ~い。」

さすが不良!

私は心の中で、初瀬先輩に拍手した。

「はい、お前もちゃんとしなさい。」

「は・・・い。」

「初瀬は校庭2周!」

「えっ、あ・・・はい。」

校庭2周はないよ。

心菜が羨ましい。

せめて早退でもすればよかった。