それからわたしはAさんが苦手になった。
男の子たちがAさんをからかっても、気にしないようにしていた。
手を差し伸べることが怖かった訳じゃなくて、拒絶されるのが怖かったんだと思う。
Aさんは(傘の時のように)嫌だったら「嫌だ」と言える人だから大丈夫……。
Aさんの心情を測りきれずに、わたしはそう思い込んでいた。
だから、「買ってきたお弁当」のことで担任の先生が怒った時、わたしは混乱した。
「買ってきたお弁当」って、そんなに悪いの?
お母さんがいなくて、お父さんが仕事なら、仕方ないんじゃない?
頑張ってるんだから、堂々と食べればいいのに。
食べ物残すほうが……悪いことなんじゃない?
先生の話を聞きながら、わたしはそんなことをずっと思っていた。