わたしは泣きそうになるのを我慢して、二つの傘をゲタ箱の傍に置いてあるクラスの傘立てにそっとしまった。
帰りは、Aさんが帰るのを待ってわたしも帰った。
傘立てには朝と同じく、二つの傘が残っていた。
もしかしたら、使ってくれるかも……?
どこかでそんな気持ちがあった。
「自分の気持ちが通じないこともある」
残された傘を見て、そのことを初めて知った。
帰りは友達と二人、泣きながら帰った。
友達は、
「きっとAさんは、傘いらないんだよ」
そう言って慰めてくれた。
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