「このカサ、あげる。帰りに使って?」


雨の日の朝、わたしは学校のゲタ箱の前でAさんを待って、用意した傘を差し出して言った。


きっと、喜んでくれるに違いない!そんな期待に胸がいっぱいだった。


だけどAさんは、わたしの顔をしばらく見て、何も言わずに教室へ行ってしまった。


ずぶ濡れのまま。


本当は、Aさんが朝から濡れないように学校に来る前に傘を渡さないといけなかったんだ……。


そのためAさんは朝濡れて来ることになってしまったんだと思った。


自分はなんて、大変なことをしてしまったんだろう。


そんな罪悪感でいっぱいになった。