笑顔……
はぁ。
もう昔のことだよ、うん。
「なんで溜め息?」
『えっ』
心の中でついたはずなのに、実際出てしまったのかな。
「なんか俺悪いことしたか?」
『別に、なんでもない』
「やなことでもあった?」
『…いや、平気』
もしも「過去」っていうノートがあって、そこに今までの経歴が綴られてるとしたら、
私は迷わずあの時のページをぐちゃぐちゃにして破いてビリビリにして燃やしてしまいたい。
あの人は、私の中にはもう居ない
大っ嫌いなんだから。
「……い、おい、おーい」
ハッとした。
『あ、…何?』
「今凄い怖い顔してたぞ」
こんな、と言って叶君はすっごい変な顔をした
『ぷっ』
「?」
『はは、そんな顔してない』
「あ……なんだ」
『ん?』
「ちゃんとお前笑えんじゃん」
『は?』
そのあとの言葉を必死に探したけど、なんて言っていいか分からなかった。
「名前、何?」
『苗字?名前?』
「どっちも教えてくれない訳?」
『もうこうやって話すこと無いと思うから』