『……へ?』
「こっからの桜、超綺麗なんだぜ?」
『知ってるし』
「え!?」
なんで…叶(?)君が桜のこと知ってんの?
「なんでお前が桜のこと知ってんの!?」
『こっちの台詞』
「誰も知らないと思ってたのに……」
『うん、私も』
窓の外を見ると八分咲きの桜が続いている
今年も綺麗なピンク色の花がグラウンドを彩っている
「……やっぱすげーな」
叶君は感嘆の声を漏らしている
「な!!」
……な?
「…お前だよ、お前」
『…あー、同意求めた的な?』
「うん。反応鈍いな」
『あーうん』
「否定しないんだ」
『あんたが肯定したからでしょ』
「そーだけど、ははっ」
そして彼は私とイス二個分距離を置いて座って、窓から外を見ていた。
グラウンドからは野球部とかサッカー部とかの声が聞こえる。
やっぱり遠いから「ワーワー」ってしか聞こえないけれど。
そんな野球部に入りたがるまだジャージも新品な一年生が混じっている。
「今年も野球部はたくさん入んのかな」
『あー…』
「興味無いって?」
『私も同じとこ見てた』
「やっぱ目に入るよね~!!」
ニコッと笑った顔はまるで子供のようだった。