高い月謝を出してくれて、塾に行かせてくれた。
最初は「捨てられた」と思ったけど、
それは違った。
私の親の最後の『賭け』だったのかも知れない。
美春が変わるチャンスを探していたのかも知れない。
ありがとう。
朝からカツ丼作ってくれてありがとう。
「んじゃ、行ってくる。今日の夜は、焼肉が食べたいな。しかも柔らかいお肉!!」
お母さんは、きっと用意してくれる。
柔らかい高級肉を。
千夏と待ち合わせしている駅まで自転車で向かう。
駐輪場に自転車を停めた。
ポケットの中で、携帯が震えた。
私の手も少し震えていた。
受験の緊張なのか、まーちゃんからのメールかも知れないってドキドキしているのかどっちかわかんない。
『フレーフレーみはる!!俺がついてる!!気楽にな』
携帯の画面に向かって、うん!って力強く言った。
ひとりじゃない。
もうひとりじゃない。
みんなが私の周りにいる。