冬休みを迎えた途端、塾には大勢の生徒が溢れていた。
学校の宿題の質問を受け付けるとまーちゃんが言ったせい。
まーちゃん目当ての生徒がまーちゃんの周りを取り囲む。
「おい、鈴木!お前は宿題持って来てるのか?」
問題児の私を放ってはおけないよね、まーちゃん。
「持って来るの忘れたから」
ぶっきらぼうに答えるのは、私の『寂しい』のサイン。
ちゃんとわかってる。
まーちゃんは。
「隣の自習室で待ってろ。後で復習するから」
「はいよー」
自習室。
大好きな場所。
数学は、実は
もう嫌いじゃない。
学校のテストでも初めて80点を取った。
母親は涙を流して喜んだ。
「ごめんね、お母さん」
まーちゃんがいなかったら言えなかった。
まーちゃんは数学の先生なのに、
いろいろうるさい。
親に感謝しろ、だの…
人生はこれからだ、だの…
とにかく説教じじいなんだ。
でも、そんなまーちゃんが私の心の支え。