それから、何もなかったかのように時が過ぎ、


あたしは毎日アトリエに足を運んでいた。


特別優貴さんから何か言われることもなく、


優貴さんは、ひたすら絵に没頭していた。


コンテストの締め切り日が近くなったある日、


優貴さんは珍しく多言だった。



「絵、完成しそうなんですか?」


「うん、後二、三日ってとこかな。」


「完成したら見せてくれますか?」


「そうだなぁ、皐月ちゃんには展示会で見てほしいな。」


「もったいぶりますね。」


「皐月ちゃんには、ちゃんとした場所で、しかるべき時に見てほしいからね。」


優貴さんは優しく微笑んだ。


あたしは、前々から気になっていたことを聞いてみることにした。