ふと俊は窓の外を見る。



『……外…真っ暗だね。』

『…えっ?』

私も窓の外を見つめる。窓の外は日もすっかり沈み,一番星さえうかがえる。



『……一人で大丈夫??』


俊がぽつりと呟く。


『…大丈夫だよ~。小学生じゃあるまいし♪』

『なら,いいけど。』


そんな会話をしながら私と俊は教室を後にした。



階段を下りていると俊が急に立ち止まった。



『?? どうしたの俊?』

『……。』

何も言わない俊。
首をかしげながらも俊を見つめる。



『…やっぱ,俺お前んちまで送って行くよ。女の子一人ってのは危ないし。』

『えっ?!そっそんな気遣いしなくてもいいって。』

『…駄目…』



はい?
駄目??


―バッ‥


急に私の手を掴み歩き出す俊。

この時私は初めてあなたの不器用な優しさに気付いたよ…




そして結局?一緒に帰ることになった私達。
暗い夜道に私と俊の足音だけが虚しく響く。



学校を出てからずっと無言の俊。 …なんだか気まずい…(汗)

何か話さなきゃ!

私はこの空気を変えようと,思い切って俊に話しかけた。



『ねぇ♪俊って好きな人いるの??』

『あ゛?何だよいきなり…』

『好きな人だよ!好きな人♪』
『…そんなもん…』

そう言って俊は少し寂しい顔をしていた。


まずいこと聞いちゃったかな…?
私の心配をよそに今度は俊が話しかけてきた。



『歩はいんの?』

『えっ?』

『好きな人だよ。』

『…じゃぁ俊が教えてくれたら私も教えてあげる~♪』

『げぇ―!何だよそれ!俺達友達だろ??教えるぐらい,いいじゃねぇーかよ♪』



…友達…

それは私と俊の間にある,今の私が越えるには大きすぎる友達という壁…



『…友達かっ…』

私はポツリと呟いた。


『??何か言ったか?』

『うぅん。何でもない★…それより,俊は今まで何人と付き合ったことある??』


私はさりげなく一番気になっていることを俊に聞いてみた。



『……。』

黙り込む俊。
俊の答えに期待しつつも,どこか不安なあたし。……どう見たって矛盾してる。



『…笑うなよ?!』

俊が口を開く。

『笑わないよ~★』


『……一人。』

俊は聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声で呟いた。

それにどこか悲しそうな顔。