「わっ……」
思ったより陸の顔が近くにあった。
「ご、ごめん……」
恥ずかし――……
赤くなった顔を隠すように、私は下をむいてまた問題にとりかかろうとした。
チラリと陸の方を見てみる。
すると、
陸と目があった。
真剣な目……
少し赤く染まった頬。
私は目をそらせなくなってしまった。
「風香……」
ドキンっ
陸の顔が近づいてくる。
キス……?
ぎゅっと目をつぶった。
「…ふ……」
唇に柔らかい感触。
熱い吐息。
ダメ……
これだけで頭クラクラする……。
ガラッ
ばっ!!
突然開いたドアの音。
私たちは我に返って体をはなした。
「陸に渡辺?もしかして居残り勉強ですかぁ〜?」
ドアのところにいたのは、
今年この中学に新任としてやってきた
恩田 孝之(オンダタカユキ)先生だった。
「なんだ、孝之かよ。」
この調子でしゃべってるってことは……
ふたりは仲良いのかな?
きいてみると……
「そ。実をいうと中学からの友達なの♪」
恩田先生がそう教えてくれた。
「……で?渡辺は居残りさせられてるのー?」
ニヤニヤしながら恩田先生が訊いてくる。