「美憂、美憂」


「…、…」

ゆっくりと目を開けると目の前にはアキがいた。


あたしがいるのはベッドの上だということを回りにある家具が語っている。



あたし、どうしたんだっけ?



「起きた?」


「…あぁ、うん。
あの人は?」



「かえってもらった。

でもびっくりしたよ。
美憂、急に走り出してあの女を突き飛ばした後、倒れるんだもん」

…倒れたんだ、あたし。


あのときあたし、どうしたんだっけ。


真っ白な天井を見上げてまだぼんやりとしている頭を一生懸命働かせて考える。


だけど、記憶はやっぱり戻ってこなくて思い出そうとするのは諦めた。