それは冬のよく晴れた朝だった。




「ねぇ、君さ。
僕のこと知ってる?」


彼はごみ捨て場に座りこんでいた。


あたしは突然問い掛けられてびくん、と体がはねたが何も聞こえなかったフリをして、ゴミを捨てる。


しかし、多分酔っぱらいか不審者である高校生から大学生くらいに見えるその人は、あたしを見つめ、ニコッと笑った。


その笑顔は爽やかなのだけどうさんくさくて、かなり怪しい。



ゴミを捨てるのは仕方がないから後でか次にしよう。

そう思って踵を翻したとき、後ろからまた声が聞こえる。


「あれ?シカト?
美憂ちゃーん」