「ねぇ、いいよね?」


「……駄目って言っても住み着くクセに」


「あ、バレた?」


「当たり前。

まぁいいわ。
色々気になることあるし部屋なら有り余ってるから」

マンションの一室をひとりで使っているのでリビングと自分の部屋をのぞいた2つの部屋が使われないまま残っている。


両親は、もういない。



「ほんと?やった!」


「あ、でも部屋に置いてあるものに絶対にさわらないで。
触ったら追い出すわ」


「了解っ」




─こうして、簡単にあたしと天使の奇妙な生活が始まることが決まった。



天使は謎だらけだけど、教えてもらう術がないから仕方がない。



少しずつ、知っていけるはず。



不思議と迷いはなかった。