中学二年になって私にはよく話す男友達がいた。
名前は篠原健と言ってスポーツ万能だった。
あの日はまだ空が明るくて下校しようとしたら、健君が話し掛けてきた。
「乙女ちゃん。一緒に帰らない?」
「えっ良いけど。」
なぜあの時一緒に帰ってしまったのだろう。
「乙女ちゃん何飲みたい?」
「お茶がいい。」
自動販売機の前で健君は私にお茶を渡した。
「昨日さ公園に落とし物しちゃったんだよねー。」
健君はジュースのキャップを外しながら言った。
「そうなんだぁ。」
私には関係ないと思いあえてあまり反応しなかった。
「それがさ、死んだばぁちゃんの形見でさ、どうしようって思ってて…。」