「佐藤さん?こいつは…」



男が悠翔さんを指差して言う。



「それ以上言うな!」



男の言葉を遮り、悠翔さんが怒鳴った。
静かな廊下に悠翔さんの声が響く。


恐怖で私の体は更に震える。



「雪、行こう」



悠翔さんが私の手を掴むと歩き始めた。



「俺は諦めないからな!」



男が私たちの背中に向かって叫んだ。


私たちは振り返ることなく学校を後にした。