「佐藤さん…来てたんだぁ」



男がニッコリ笑いながら言った。
そして一歩一歩ゆっくり近付いて来る。


私は体がガタガタ震えて止まらない。
目を見開いたまま男を見ながら後退りする。



「雪?」



悠翔さんが私の腕を掴む。


恐怖で涙が込み上げてくる。



「俺に会えたのが泣くほど嬉しい?」



この男は何を勘違いしてるんだろう…。


私の脳裏に1年前の恐怖がよみがえる。



「隣にいる男…誰?まさか彼氏じゃないよね?」



男が更に近付いて来る。


いや…。


いや…。


来ないで…。


お願いだから…私に近付かないで…。