「海くんは、他の子が羨ましいとか言わなくて…。お姉ちゃんが来てくれるって楽しそうに話してくれたんだけど…でもその後に悲しそうな顔したんだ…」
私は黙って悠翔さんの話を聞いていた。
「その時に俺は、海くんは雪やお母さんにはワガママ言わないけど、我慢してるんだろうなと思った。だから俺が行こうか?って聞いたら、凄く喜んでくれてさぁ。そしたら桜ちゃんも運動会に来て欲しいって言い出して。それで海くんと桜ちゃんと約束したんだ…。学校や保育園の行事には、行ける時には俺が行ってやるってね」
悠翔さんが笑顔で私を見る。
「悠翔さん…」
「ん?」
「ありがとうね」
私は悠翔さんの胸に顔を埋めた。