「雪はお母さんのことは口に出しても、お父さんのことは口に出したことなかっただろ?」



あっ…。
そうだ…。



「だから、お父さんはいない家庭なのかな?って思ってて…」


「うちね…父親の暴力が激しくてね…。海や桜にまで手を出すようになって…。それでお母さんは離婚を決意したんだ。私ね…その時に、お母さんや海や桜を守っていこうと決めたんだ…」



あの頃のことを思い出しただけで涙がでてくるよ…。



「もういいよ…」



悠翔さんが私を抱きしめる。


悠翔さんの腕に力が入る。



「辛かったな…」



悠翔さんが私の髪を優しく撫でてくれた。