雨宮鏡子が失踪した。

その報せが澤里翔吾の携帯電話に届いたのは、鏡子と会った次の日だった。

連絡をくれたのは翔吾の幼馴染である雨宮流一だった。

翔吾の手は携帯電話の感触さえ感じることができない。

この世界からすべての音が抜け落ちてしまったかのような、そんな消沈を感じた。

何の前触れもなく、翔吾はかけがえのない友人を失ってしまった。

友人?

いや、それ以上の人だった。

楽しかった今までの記憶が、泡のように一瞬ではじけた。

まだ、3人で楽しくやっていけた頃を思い出す。