ガチャン
鍵の開く音がした。

「ギギギギ」
扉が勝手に開いた。

「帰れる....!」
誰もがそう思った....が!
福田が足場を離れると
バタン!
ものスゴい早さで扉が閉まった
「そんな....」
試しにもう一回踏むと
やはり扉が開いた。

ゴゴゴゴ
何やら上が騒がしい
「!!!!!」
何と天井が迫ってくるではないか
「恐らくココでもたもたしてると皆ペシャンコだ」
希望が絶望へ変わった。
「誰かが犠牲になるって事か...」

皆、福田を見た
「わかってるな...」
田野が言った
「....いや、私がやる」
大暮だ
恐らく俺の事が好きなヤツだ。
天井が近くなっていく
俺を突き飛ばして大暮が踏んだ。
「早く!」
確に俺達に時間は無い、がどうしても友を見捨てる事は俺達には出来なかった。

「皆で天井を支えるんだ!」
が、天井の圧力は物凄く全く無意味だった。
「やめて!私の事はいいから早く」
そう言うと大暮は台座を踏んだ。
扉が開いた
真っ先に行ったのはやはり田野だ
「早く来いよ!」
次々と皆、出口へ走った
「そんなの出来ないよぉ」
清瑞が泣いて座りこんでしまった。

もう立っていられない所まで天井がきている。

俺はパニックになった。
愚かな事に今の俺には大暮の事がどうでも良くなってしまった。
嫌がる清瑞を抱え俺は必死の思いで出口へ走った。