…―だから、私はお兄ちゃんが嫌い。


ちっちゃい頃からずっと、いつだってお兄ちゃんと比べられてきた。


優秀な兄と、とりたてて目立つとこがあるわけでも無い出来の悪い妹…―。


きっと、お父さんとお母さんも私に何も期待なんかしてないだろう…。


いつだったか、お母さんに言われた。


「あんたは、お嫁に行くしかないんだからね…。」


私に期待なんか誰もしてない…。

なんでもこなせるお兄ちゃんが昔っから疎ましくてたまらなかった。


「ごちそうさまっ!」


ガタン!

乱暴に椅子から立ち上がり、
食器を流しに運ぶと、私はさっさとリビングを出た。


きっと、両親のお兄ちゃんに対する自慢話はしばらく続くだろう…。

そんなの聞きたくもなかった。