もう…朝か…―。

結局、私は一睡もできないまま、朝を迎えた。

「みく~!
朝ご飯できたわよ~~。
いい加減起きなさい~!!」

1階のキッチンから呼ぶお母さんの声に、私は重い体を引きずるようにして階段をおりる。


「おはよう…」

「何?あんたなんか元気ないわね~?」

お母さんにそう言われたけれど、

「…そんな事ないよ…」

そう言うのが精一杯だった。

昨日の事が夢だったらいいのに…

そう思っていたけれど、部屋に残されていたすっかり溶けてしまった2つのアイスのカップ。

私の唇に今もまだ生々しく残っている昨日の感覚…―。

それらが夢ではないと嫌になるくらい気づかせる。

ハァ…

私は大きなため息をついて立ち上がった。

「ごちそうさまっ。」

「あら。
ほとんど食べてないじゃない。」

「うん、もうお腹いっぱい。」

「具合でも悪いんじゃない?」

「大丈夫だって。」

なるべく明るくお母さんにそう言うと、洗面所に行った。