「何…すんの…?」

それが、かすれながらもやっとで絞り出した言葉だった。

「何って。キスだろ?」

お兄ちゃんはそう悪びれずに言う。

「そうじゃなくて…何でこんな事…」

「だから、口止め料だって。」

「それにしたって…ひどいよ…。
私は妹なんだよっ!?」

せっかく、谷川先輩とファーストキスできたのに、こんなのひどすぎる…。

「…―俺にとっては…―

お前を妹として見る事なんてできないんだよっ…」

えっ…?

「お兄ちゃん…?
今…何て…―?」

「おやすみ…」

お兄ちゃんは、部屋を出て行った。

私は、お兄ちゃんが呟いた言葉がいつまでも頭から離れなかった…―




…―お前を、妹として見る事なんてできないんだよ…っ―


確かにそう聞こえた。

…それって…―


私は一晩中寝つく事が出来なかった。