「今日はありがとうございました。
ご飯までおごってもらっちゃって。」

私と先輩は、街で買い物をしたり、映画を見たりしたあと、ご飯を食べ、駅でしゃべっていた。

「いいよ、いいよ。バイトの給料入ったばっかだしさ。

今日は楽しかったよ。」

「私も楽しかったです。」

私の言葉に、先輩は満足そうな笑みを浮かべる。

「じゃあ、私そろそろ帰りますね。」

あまりの楽しさに時間も忘れていたけど、もう9時だ。
いい加減家に帰らないとお父さんの雷が落ちてしまう。

「家まで送って行かなくても大丈夫?」

先輩は、そう心配そうに聞いてくれたけど、

「大丈夫ですよ♪
うち、けっこう駅から近いし。」

そう言って断った。
家族に先輩と一緒のとこ見られたらと思うと、なんとなく恥ずかしかった。

「そっか…。
じゃあまた明日学校でな。」

「はい♪」

先輩に背を向け、歩き出そうとした時…―
「みくちゃん。」

「え?」

突然呼び止められ、振り返ると…―


「………!!」

ふわりと、軽くキスされた。

「家着いたらメールしてね。」

先輩は、そのままスタスタと歩いて行ってしまったけど、私は、固まってしまって、その場からしばらく動けなかった…―。