「?みくちゃんどうかした?」

「あ、いえ…」

先輩は視線には全く気づかなかったみたいだ。


…言えないよね。

お兄ちゃんが先輩見てただなんて…。


でも、一体何だったんだろう…。


ちょっともやもやした気持ちを抱えながら、私は電車に揺られていた。



「みくちゃん、今日放課後は暇?」

学校へ着き、廊下を歩いていると、唐突に先輩にそう言われた。


「え?」

「いや…
今日さ、バイトないんだ。
俺達、まだまともにデートした事とかなかっただろ?」


デ…デート///

思いがけない誘いに、頬が赤らむ。


「用事とかあるならまたでいいんだけど…―」


「ななな無いです!!放課後、暇です!!」

先輩の言葉を遮るように返事をした。

「じゃあ、また放課後な。
玄関で待ってるから。」

私の答えに、先輩もはにかんだような笑顔を浮かべ、教室までの階段を上って行った。