「加奈子!」

九鬼の叫びに、加奈子は笑いながら、横へと移動し、道を開けた。


「チッ」

舌打ちすると、九鬼は着地し、加奈子の横を通り過ぎた。

「とう!」

全力で走り、助走をつけ、ジャンプすると、膝を下っぱに叩き込んだ。


下っぱは、一撃で崩れ落ちた。



「きゃあ!」

夏希の悲鳴が聞こえた。


「夏希!」

九鬼が振り返ると、豆腐まみれになった夏希が、眼鏡を探していた。

顔が真っ白になっていて、目が見えないようだ。

「眼鏡!眼鏡!」

豆腐まみれの足元を、手探りで眼鏡を探す夏希。

「ははは!乙女ブルー敗れたり!」

最初の大きさから、半分になった魔神湯豆腐が高らかに、勝利宣言をした。


「とどめだ!」

両手に、少し冷め始めた湯豆腐を持つと、魔神湯豆腐は、それを投げた。



その時、黒い風が人混みをすり抜けた。

普通の人間には、とらえきれない程の速さで、夏希を抱き抱え、魔神湯豆腐の攻撃から救った。


「あれは!」

九鬼は目を見開いた。

「乙女ブラック!」

乙女ブラックは、夏希を安全圏に避難させると、そのまま人混みに消えた。



「まだ終わんねえ〜のかよ!まじだり〜い」

携帯をいじりながら、頭をかいていた蒔絵に気付き、はっとした九鬼は、現状を理解すると、頷いた。


蒔絵に駆け寄ると、携帯を奪い、魔神湯豆腐に投げるふりをした。

「いつもいつも!何するんじゃい!」

怒りで、自動変身し、乙女グリーンに変わった蒔絵を誘導するように、九鬼は魔神湯豆腐との対角線上に立った。


乙女ビームが発射された。九鬼は横に避けると、ビームは魔神湯豆腐を直撃した。


「そんなあほな!」

魔神湯豆腐は、爆発し…湯豆腐は焼き豆腐になった。

魔神の敗北を見て、下っぱ達は退散した。