「女神…それだけが、わからない…。あなたは、知っているのか?」

九鬼の問いに、蘭花は首を横に振った。

「さあ…」

そして、真上の月を見上げ、

「でも…近くにいるはず…。目覚めはじめた女神が…」



「あたしは…」

九鬼は、穴から出ようとする。

「今は…女神よりは…あの子達を守りたい」

だけど、九鬼の体のダメージは回復しておらず、足にきていた。

また倒れそうになる九鬼の腕を、屈んだ蘭花の手が掴んだ。

「黒谷さん?」

「生徒会長…。あなたの力が必要よ」


九鬼は蘭花の言葉に、目を見開いた。

「い、いいのか?あたしは…あなたの…」


「フッ」

蘭花は一度目を瞑った。そして、ゆっくりと開けると、口調を変え、笑顔で答えた。

「何言ってるのよ!今日は、あなたとあたしで、乙女ブラックよ」

明るく言う蘭花に、九鬼は苦笑すると、倒れそうだった体を起こした。

そして、真っ直ぐに穴の中で立つと、微笑みながら、改めて手を差し出した。

蘭花も無言で、その手を握り締めた。





「行きましょう」

穴から出た九鬼と蘭花は、ゆっくりと歩き出した。



「勝てるの?」

蘭花の質問に、九鬼は頷いた。

「あたしのすべてをかけたら…」

九鬼は、何度も立ち上がるグリーンとブルーを軽くあしらっているプラチナを睨んだ。

「いくわよ!」

九鬼の号令に、蘭花は頷くと…2人は走り出した。




「九鬼…」

グリーンは片膝をつきながら、走ってくる九鬼を見つめた。

「く、黒谷さん…?」

ブルーは腫れた目で、黒谷を見た。




「装着!」

突きだした2つの乙女ケースが輝き、


2人の乙女ブラックが出現した。

「お、乙女ブラックが2人!?」

動けないピンクが、驚いた。


「ブラック!いくぞ!」

九鬼ブラックの言葉に、

「おお!」

蘭花ブラックが頷いた。

まったく同じ姿をした2人が、プラチナに向けてジャンプした。