圧倒的な力で、乙女ソルジャー達を駆逐する乙女プラチナの姿を尻目に、

蘭花はクレーターのような穴の中にいる九鬼を見下ろしていた。

「どうするの?生徒会長。あなたの大切な学園の生徒であり…仲間である乙女ブルー達が、殺されるわよ」

他人事のように言う蘭花の口調に、変身が解けた九鬼は何とか首を動かし、穴の縁に立つ蘭花を見上げた。

「あ、あなたこそ…いいのか…。乙女ソルジャーは…5人いなければ…真価を発揮しないはずだ…」

「そうね」

蘭花は軽く肩をすくめ、

「だからこそ…今までの月影は、真の力を発揮できずに、個人技だけが特化した。まあ…ブラックが偽者だったし…」


その言葉に、九鬼は蘭花を軽く睨んだ。


「だったら、どうして!出てこなかった!」

九鬼の怒気を含んだ言葉に、蘭花は少し九鬼の顔を見つめた後、ブルー達の方へ顔を向けた。

何度倒されてれも、ブルー達はプラチナに向かっていく。

「あたしは理事長の孫…。学園の先生に、やつらの幹部がいる為、なかなか動けなかったのよ。それに…アイドルでもあるしね」

「…」

九鬼は、蘭花の横顔を見つめた。


「やつらから、乙女ケースを奪い…学園に逃げ込んだ半月ソルジャーの行動は、偶然ではなく…必然」

蘭花は、黒い乙女ケースを取りだし、

「つまり…学園にある乙女ケースは、五つ!あなたの持つケースは、何?どこから得たの?あたしは、それがわからなかった」

逆に、蘭花が九鬼を睨み、

「そして、乙女シルバーの登場!ガーディアンシリーズで確認されていたのは、2つだけ!大月学園に保管されていたダイヤモンドと、広陵学園にあったプチチナ!」

蘭花の手にある乙女ケースが、月の光を得て輝いた。

「いずれ目覚める月の女神を護る為、戦士の為に残された力!しかし、その2つは…やつらに奪われた」


「だから…」

九鬼はふらつきながらも、立ち上がった。

「月は、シルバーの力を復活させた。やつらに対抗する為に…目覚めかけている女神を護る為に…」