「さあ!着いたぞ!」

巨大なカメが暴れたことで有名な京都駅に着いた一向は、新幹線からバスに乗り換え、一路旅館を目指す。

九鬼は車内では、折り畳んでいた車椅子を広げると、早奈英を乗せた。

少しバス停まで距離があるからだ。

「九鬼!せ、先輩!」

普段呼び捨てにしてる為、先輩をつけにくい。夏希は、九鬼に駆け寄ると、耳元で囁いた。

「どうします?」

夏希は、熊五郎の横にいる加奈子を睨んだ。

「一応…気をつけているから…。できるだけ、そばにいるし…」

九鬼も、加奈子を見た。


そんな視線に気づいたのか…加奈子の口元が緩んだ。




「か、怪人だ!」

「きゃあああ!」

どこからか、悲鳴が聞こえ、突然駅内が、パニックになる。

上空にあるガラスの天井が割れ、何が降ってきた。


それは、白い物体だった。

「豆腐!?」

夏希は首を捻った。

「我が名は、魔神湯豆腐!」

巨大な湯豆腐は、横から手が生えると、自らの体を千切り、周囲に投げつける。

「熱い!」

「熱い!」

湯豆腐が当たった相手だけでなく、投げている湯豆腐も叫んだ。手が真っ赤になっている。

「夏希!」

「うん!」

頷き合うと、九鬼は車椅子を押して、バスへと向かう。

「会長!あたしも!」

車椅子を押す九鬼に、振り返った早奈英。

「あなたは、ダメよ」

九鬼の目の前に、逃げる人混みの中で、笑う加奈子がいた。

どこからか、黒タイツの下っぱも現れ、人々に襲いかかる。

謎の粉を下っぱに振りかけられると、人々の顔が真っ白になり、下っぱ舞妓…別名マイコーになった。

マイコーは、逃げる人々に襲いかかる。

「チッ!」

九鬼は加奈子の横を通ると、パニックになっている生徒達をなんとか、バスへと引率している熊五郎に、車椅子を渡した。


「お願いします!」