緊張が走る。

富子は、蒔絵の顔を見れない。

「こ、これは〜まじおかしいぜえ!」

不満気な蒔絵の口調に、富子は我慢できなくなり、正体を晒した。

「よくわかった!わたしが、鹿せんべい売りではなく、鹿フンの親玉だと!」

椅子から立ち上がり、赤いタイツを被った富子の耳に、信じらない言葉が聞こえてきた。

「これよ!草はいってんじゃん!食えねえよ!交換しろ!」

「え」

赤タイツの富子と、蒔絵は目が合う。



「てめえ!怪人だな!人に、変なもん売りやがって!」

「ち、違う!」

弁明しょうとする富子の前で、怒りの蒔絵がグリーンに変身した。

と同時に、発射された乙女ビームが、富子を直撃した。

(智也…おばあちゃん…グリーンと絡めたよ)




富子がやられたと同時に、鹿せんべいの箱に偽装されていた魔神鹿のフン製造装置は、破壊された。


奈良公園を埋め尽くしていた鹿のフンは、もとの大きさに戻った。

「ったく!こんなもの食えるかよ!」

蒔絵は、遠くにいた鹿に、せんべいを投げた。



ちなみに、鹿せんべいは食べれません。





「消えた…」

魔神鹿のフンが消えたことに、ほっとするのも束の間…。

体力を使い果たした九鬼の前に、光輝く戦士が姿を見せた。

「九鬼真弓!今日は、お前の最後の日だ!」

沈みゆく太陽が、若草山が左に見える広大な公園の彼方に沈んでいく。

もうすぐ、月が昇る。

しかし、その前にいる敵は、今までの魔神と比べ物にならない。

乙女ガーディアン…


乙女プラチナ。


変身できない九鬼の運命は!?