「月の女神に、従う者よ!闇に仇なす者よ!我は、月を破壊し、真の闇を与える者なり!」

加奈子は、サングラスを前にかざした。

「闇の力!思い知るがよいわ!」



「加奈子!」

ゆっくりと美和子を地面に横たえると、九鬼は乙女ケースを握り締めた。

その乙女ケースを見て、加奈子は鼻を鳴らした。

「よい余興を思いついたわ!」

にやりと笑うと、加奈子はサングラスを制服の胸ポケットにしまった。

そして、逆に手に取ったものは、

どどめ色の乙女ケース。


「装着!」

屋根から飛び降りた加奈子の全身を、どどめ色の光が包み、グラウンドに降り立った時には、乙女ソルジャー…乙女どどめ色が、九鬼の前にいた。


「クッ!」

九鬼も変身しょうとしたが、乙女ケースが開かない。

「変身しないのか?ならば、こちらからいくぞ!」

どどめ色の周りに、無数の包丁が出現する。

「どどめ包丁!乱れ桜!」

数百の包丁が、九鬼に向かって放たれた。

「チッ!」

九鬼はとっさに頭を、心臓を腕でガードする体勢を作る。

「そんな腕で!切り落としてくれるわ!」

包丁が、九鬼に突き刺さる瞬間、銀色の光が九鬼の前に現れた。

「はっ!」

その光は、人形になると、気合いだけで、包丁達を消し去った。


「き、貴様は!」

加奈子は目を見開いた。

九鬼の前に立つ…銀色の戦士。


「乙女シルバー!」

加奈子は思わず、後ずさった。

「馬鹿な!月の守護神が、どうして、ここに!」



乙女シルバーは、加奈子を睨んだ。その眼光の鋭さに、加奈子は舌打ちした。

「おのれえ!」

そう言うと、マントを翻し、その場からテレポートした。



「加奈子…」

加奈子がいた場所を見つめた後、九鬼はその視線をシルバーの背中に向けた。

「久しぶりですね」

シルバーはゆっくりと振り返ると、九鬼に微笑んだ。

「生徒会長」