「死ねえ!」

早奈英を背負いながら、走る九鬼を、取り囲む下っぱ軍団。

住宅地を疾走しながら、攻撃をかわす九鬼の動きに、下っぱは舌を巻いた。

「こ、こいつ!」

ナイフを突きだすが、九鬼の蹴りで、ナイフは飛んでいく。

「こいつは、人を背負ってるんだぞ!」

家屋の屋根から、下っぱスナイパーが、九鬼の頭に向けて、発砲した。

しかし、九鬼は乙女ケースで銃弾を弾いた。

「何!?」

スナイパーの位置を確認した九鬼は、マンションの中に逃げ込んだ。

「追え!」

階段を登った九鬼は、三階の踊り場から、ジャンプした。

「生徒会長!」

思わず目をつぶった早奈英を背負いながら、飛び降りた九鬼の真下には、先程のスナイパーがいた。

「な!」

驚いたスナイパーは、上に銃口を向ける前に、九鬼の膝がスナイパーの顔面にヒットし、鼻をへし折った。

そして、素早く猟銃を奪い取ると、マンションの踊り場に姿を見せた下っぱの肩を撃ち抜き、新たに銃弾を込めると、下にいる下っぱ達の足を撃ち抜いた。

「しっかり、捕まってて!」

九鬼は、隣の家のベランダにジャンプすると、さらにその先の塀に着地し、そこから路上へと降り立った。

すると、新たな下っぱが哲学の道の方から走ってくるのが見えた。

九鬼は舌打ちすると、早奈英を背負いなおし、駆け出した。

「抜け道にいくわ…あそこなら」

横に寺や学校がある比較的広い道に出た九鬼は、南禅寺へと向かう道を走っていた。

「いかさへんでえ!」

お寺に頭を下げ、参拝客を装っていた巨大な携帯電話が、九鬼の行く手を阻んだ。

「我が名は、再生魔神ポケホウダイン!今回は、携帯電話は止まってへんでえ!毎月楽々のカード払いにしたからや!」

ポケホウダインの画面に映った人差し指が、九鬼を指差し、

「さあ!恥じらいのレッドはん!今度こそ、パンチラをネット世界の晒しもんにいてやるわ!ハハハ!」