「大体…京都にまで来て、あんな変態や化け物と戦わなくちゃならないのよ」

1人ボートを漕ぐ桃子。

別に、メンバーと離れた訳ではない。

5人一組で、行動している為、桃子だけが単独でボートに乗ることになってしまったのだ。

デートスポットとしても有名な嵐山。

桃子達一行は、鈴虫寺を参拝した後…ここ、嵐山にきたのだ。

ちなみに鈴虫寺とは、一年間鈴虫が見れることで有名だが、

縁結びでも有名で、普段からカップルや女性達で長蛇の列ができている。

境内に入ると、有難い説法を聞かされ…最後に幸福と書いたお札を貰うことができる。

そのお札は、彼氏彼女ができると、お寺の入り口にいらっしゃるお地蔵様に、お札を返しに来なければならない。

確か…郵送もできたはずだ。

なぜ…そんなに詳しくて、うるおぼえかと言いますと!

原作者は、返したことないからだ。

知り合いに、ただ鈴虫が一年中見れるときいたので、その寺に行った原作者は絶句した。


カップルや女友達が、むちゃくちゃ並んでいたからだ。仕方なく、その中で1人腕を組む。

いきなり降りだした…ぱらつく雨の中でも、並び続ける作者を、はなから見ると、

どんなに相手がほしいねんと突っ込みを入れたくなるが…悲しいかな…

作者は説法を聞くまで、縁結びとは知らなかったのだ。

その汚点も、今…花開いた。



「って!肝心の鈴虫寺の画面がなんて、なかったでしょうが!」

桃子は思わず、個人的な回想に突っ込んでしまった。


壮大な広々とした桂川をせき止めた中で、1人寂しい桃子は、

多分あの時の作者と、同じ気持ちだろう!

そうだ!そうに違いない!

「あたしは、寂しくないです!あたしは、京都に1人で来ないし!」



…………。



かくして、竜田桃子の過酷な戦いは、決まったのであった。

「え?」

桃子が、ナレーションに驚いていると、

突然、目の前の水が盛り上がり、

巨大ないちごが飛び出してくると、体に生えた無数の蛇が桃子に向かって、襲いかかってきた。

「や、八つ当たりじゃない!」

桃子が叫んだ。