「敗北が嫌ならば、死あるのみ」

哲也の右手に、光の粒子が集まってくる。

「ムーンエナジー!?」

あたしは、その光を知っていた。

広げた手のひらをゆっくりと閉じると、光は圧縮され…光輝く乙女ケースとなった。

あまりの輝きに、あたしは一瞬目を瞑った。

眼鏡をかけてなかったら、危なかった。



「変身…するわよ」

哲也の声に、呼応して、光の眼鏡が飛び出すと、

哲也は乙女ソルジャー…いや、乙女ガーディアンに変身した。

「ま、まさか…お兄ちゃんが!」

それは、あたし達のように戦闘服を着るとかのレベルではなかった。


豊満なバスト!引き締まったウエスト!桃のようなヒップ!

そして、淡い栗色の髪。


「え!え!」

あたしは、困惑した。

剣で、指差し…、

「あ、あんた…誰よ」


「フッ」

乙女ガーディアンは、笑った。

「お、お兄ちゃんは!」

あたしは、お兄ちゃんを探した。

目の前にいる乙女ガーディアンは、明らかに女だ。

それも、ナイスバディの大人の女。

「お、お兄ちゃん!」

慌てるあたしを見て、乙女ガーディアンはため息をつき、

「相変わらず…理解力の乏しい妹だわ。だから、国語もあんな程度で…それから…」

しばらく、あたしの知られざる成績をせきだらに告白する乙女ガーディアンに、あたしは恐怖した。

「も、もしかして…女のストーカー!!」

あたしがまた剣で指差した瞬間、乙女ガーディアンは拳を突きだした。

その風圧で、あたしは数センチ後ろに下がった。

「え!」


乙女ガーディアンはわなわなと、全身を震わせると、拳を握りしめ、

「誰が、妹のストーカーになるか!」

と力んだ後、大きく肩を落とした。

「仕方がない。一から、説明してあげる!あたしの名は、乙女ダイヤモンド。人間名でいうなら、結城哲也。でも、今は女だから…結城徹子でいいかしら?」