画面は変わり、広陵学園の体育館が映る。

先程から聞こえる歓声は、その中から響いていた。



「災禍!災禍!」

生徒達の歓声が、空気を震わす。

生徒達の目は、虚ろだ。

しかし、熱狂の仕方は、尋常ではない。


正面の祭壇には、2枚の巨大な写真が飾られていた。

一枚は、魔将軍ビューティーこと、桂美和子。

もう一枚は、魔将軍教頭こと、田中次郎だ。


「なぜ!2人は、死ななければならなかったのか!」

祭壇の前にいるのは、広陵学園の制服を着た加奈子だ。

その前には、中島と久美子が控えていた。

「闇の為に戦い!闇の為に生きた彼らが!私達の大切な友人が、なぜ!命を散らさなければならなかったのか!」

加奈子は、祭壇を叩くと、

「彼らを殺したのは、我らを邪魔する!月の使者ども!闇の領域を、光で照らす月の下僕達!」

加奈子の言葉に、殺せ殺せと野次が飛んだ。

しかし、その野次を、加奈子は祭壇を叩く音で遮った。

一瞬にして、静まりかえった体育館内に、加奈子の言葉だけが響く。

「しかし!」

加奈子は声を荒げ、

「それは結果的には、我々の為だ!次のステージに上がる我らの礎になったのだ!」

両手を広げ、

「我々は、彼らの為にも、ここに宣言する!」

瞳が赤く輝く。

「ネオ!ダークメイトの設立を!」

加奈子の瞳を見た生徒達は、一斉に足を揃え、背筋を伸ばした。

加奈子は大きく頷くと、右拳を天に突き上げ、叫んだ。

「ジーク!ダーク!」

加奈子の叫びに、整列した生徒達も続く。

「ジーク!ダーク!」

拳を突き上げ、叫ぶ。

何度も、何度も狂ったように…。

「ジーク!ダーク!」
「ジーク!ダーク!」
「ジーク!ダーク!」
「ジーク!ダーク!」
「ジーク!ダーク!」
「ジーク!ダーク!」
「ジーク!ダーク!」
「ジーク!ダーク!」
「ジーク!ダーク!」




ジークダークの叫びの中、久美子の横にいる楓は、心の中で、毒づいていた。


(どこの独裁者よ…)