「…松田さんです。」
「松田さんって、…ずっと泣いてた?」
「ええ。彼女かわいいし、性格も優しくてみんなの憧れみたいな存在なんです。」
いきなり先生の表情が暗くなった。
「その松田さんが交通事故でご両親を亡くされたんです。」
「えっ…。それとクラスにどんな関係があるんですか?」
「彼女のご両親のお葬式が終わった次の日に、要さんが言った言葉が原因で…。」
「…なんて言ったんですか?」
「松田さん、あの時無理に明るく装っていたんですよ。見てて痛いくらい…。学校も休んでいいって言ったのに、みんなに心配かけたくないからって…。
そんな時に…。
要さんは気持ち悪いって…、あんたのそういうところイライラするって、言ったんですよ。」
「そんなこと言ったらみんなから批判を受けるって普通の人は思うんですけど、要さんはご両親に甘えられて育ったものだから…。」
「だからみんなと言い合いになったってわけか。」
俺は状況が理解できた。