「結美、みんなもう下にいるって。」
亜夜が携帯を耳に当てながら結美に話しかける。
「あっ亜夜ちゃん先に行ってて。瞬兄に連絡してくる。ご飯に置き手紙おいたけど、一応電話しとくね。」
「オッケー!早くね。」
パタパタと駆け足で結美は教室を出ていった。
「…で?なんでそんなに声のトーンが低いわけ?和俊は。」
結美が教室を出たのを確認してから亜夜は言った。
『ははッ。電話越しでも亜夜には隠し事できないな。』
「当たり前でしょ!何年和俊と付き合ってると思ってんのよ。」
亜夜は微笑みながら机の上に散らばった教科書やノートを片付けた。
『実は、結美の事で…、あの2人がな。』
それを聞くと亜夜は納得したかの様に結美が出ていった方へと目を向けた。
「ああ、結美も罪な女よね。まあ、可愛いから仕方ないけど。」
『ああ、まったくあの2人もいい加減大人になってほしいもんだよ。』
2人はクスクス笑いながら後でと言って電話を切った。