「お久しぶりです。警視庁の萩元です。」
「同じく葛城といいます。」
戸惑いながらも金木さんは俺たちを家の中に入れた。
コトッ
「あっお構い無く。」
俺が出てきたお茶を見てそう言うと、金木さんは静かに笑った。
「いきなり押し掛けてすみません。…さっそく本題に入りたいのですが」
「要さんのことですよねっ?」
彼女は少し大きな声で萩元の言葉を遮った。
「…あっすみません。でも、あなたが訪ねてくるなんてあの事件しか思いつかないし…。」
悲しそうに、そして辛そうに彼女は言った。
「そうです。もう一度お話を聞かせていただきたくて。」
彼女は立ち上がり、近くの本棚から卒業アルバムを取り出した。
「私、あのことを忘れないために無理をいってあの学年のアルバムいただいたんです。彼女がいつ戻ってきてもいいように3年のクラスの1つには席をおいて…。」
彼女は懐かしそうにアルバムを見ながら少しずつ話してくれた。