悪い夢は見なかった。
代わりに見たのは
橋口さんとあたしが手を繋いでる夢…
二人共、笑顔でとても幸せな……
夢。
願いは叶ったのに、目が覚めたら
淋しさだけが残って。
せめて夢の中だけは…って思ってたのに。
現実に戻ると思い知らされる。
暗いな…
そんな気持ちを払拭したくて
カーテンを開ける。
外はいい天気。
まだ雨じゃなくて良かったな…
気分は重かったけど
着替えて部屋をでる。
「おはよ。お姉ちゃん」
「朱里、おはよう。
朝食食べれそう?」
テーブルにはすでに準備がされてて
お弁当まで出来てる。
それは毎日の光景で。
「お姉ちゃん、いつもありがと」
「なに?いきなり」
だって…お姉ちゃんだって高校生なのに、あたしはいつも頼りっぱなしだった。