「まさか、朱里が直志先輩と知り合いだったなんてねー?」
お姉ちゃんが、テーブルにパスタを並べながらあたしに言った。
「うん…」
なんだか、お姉ちゃんの口から橋口さんの名前が出てほしくない。
直志先輩…と
妃佳里…
あたしには充分過ぎるくらい仲が良く見えた。
「直志先輩って、面白くて良い人でしょ?
昔とあんまり変わってなくておかしかったよ」
昔なんて…知らないもん。
「結構女の子にもモテてたのよ」
え………
「お姉ちゃんも…?」
思わず聞き返してた。
あたしが今、一番不安に感じてた事…
「んー。
憧れの人って感じだったかな。
あたしなんて相手にされないと思ってたしね」
…………。
夕食のパスタの味は全く解らなかった。
お姉ちゃんも…橋口さんの事……
そればかりが頭を廻っていた。