「じゃ朱里、帰ろうか。
直志先輩ありがとうございました」


どうしてお姉ちゃんが橋口さんにお礼を言うの?


「いや、途中までしか送れなくてごめんな?」


あたしは左右に首を振る事しか出来なくて。

ちゃんとお礼が言いたいのに…


「こら。ちゃんとお礼言いなさいよ?」


どんどんあたしだけ駄目な子になって行く。


「いいって。
今日は色々あったしな?」


そう言って、あたしの頭にポンって手を乗せた。


……きゅう

胸が苦しいよ…橋口さん……


ついさっきまでの嬉しい気持ちはすっかりしぼんで

今度は嫉妬の気持ちがどんどん膨らんできてる。



……嫉妬……?


あたしはお姉ちゃんに嫉妬してるんだ。


今までは諦めてすんなり終われた気持ち。


諦める………?


あたしは


この気持ちを諦める事なんて




出来るの………?