「もう。朱里ってば、直志先輩にお世話になってるんなら言いなさいよね?」
あ…
お姉ちゃんには何も話して無かったんだっけ…
「妃佳里と朱里ちゃんって姉妹だったんだ」
ドクン…ドクン…
二人の会話が聞き取り難いほど、心臓の音が大きくて…
胃もキリキリと痛み出した。
お姉ちゃんは、すでに引退したけれど
三年間バスケ部で。
橋口さんも同じバスケ部で、
お姉ちゃんが一年生の時、橋口さんは三年生だった……
あたし、橋口さんの事
何にも知らないんだ……
あたしには入り込めない二人の会話に
どうする事も出来なくて…
ただ…
そこに立っているのが精一杯。
不安で一杯のあたしの心は、
嫌な事しか考えられなくて。
今日ほど、お姉ちゃんと比べられるのが嫌だと思ったことはない。
あたしが永遠に敵うはずのない人。
嫌だよ……
そんな優しい顔でお姉ちゃんに笑いかけないで…
あたしを見て………