あたしは
このままでいいの?
気持ちを
伝えなくていいの…?
「どした?朱里ちゃん?」
俯いたあたしに橋口さんが心配そうな顔で覗き込む。
「あ、えっと…」
だけど…
同時に沸き上がる不安。
言葉がなかなか出てこない。
どうしよう…変に思うよね…?
その時耳に入って来た聞き慣れた声。
「あれ…?朱里??」
「…お姉ちゃん!」
お姉ちゃんも帰宅途中だったみたい。
「えっ…、もしかして直志先輩??」
え…………?
「あ!お前、妃佳里っ!?」
「はいっ。お久しぶりです!
ビックリしたぁ。こんな所で会うなんて!」
「おー!お前、背ぇ高くなったなぁ…」
「…相変わらず変なとこ突いてきますね」
しばらくあたしは二人の会話をただ聞いていた。
頭の中は真っ白。
橋口さんとお姉ちゃんは知り合いだったんだ…?
しかも「妃佳里」って…
あたしの中で考えたくない妄想がどんどん膨らんでいった……